ちぐはぐなゲームデザインに大きな問題 23/11/26

元々尖ったシナリオとカードの演出、構図で評価されていてゲームデザイン的にはストーリーとマッチしていたwing以外は問題を抱えたゲームデザインだったが、どこがなんで評価されているか良く考えずにリッチにすれば客数を伸ばせると考えてしまったケースかと思う。 SideMが全く同じ過ちをしてサービス終了していることに注目してほしかった。 リッチにして最近流行りのシステムを表面的になぞれば良いわけではない。それらの要素が複合的に合わさった時に、どのような体験を生むかが要だ。 まず音ゲーと育成とカードゲームが現在中途半端にごっちゃになっている。音ゲーがメインかのように宣伝しておきながら、チュートリアルでまずやらされるのらカードゲーム。ここで面食らってほとんどの新規は帰ってしまう。ゲーム内容に即した正しい宣伝が必要だし、プレイヤーにチュートリアルでまず教えるのはこのゲームで最も多くやることであるべきだ。 実は音ゲーも遊べるカードゲームであるなら、カードゲームのチャレンジモードはイベント一覧に隠しておくべきではない。音ゲーアイコンの隣にデカデカとアイコンを並べてあげるべきだ。 カードはおまけ要素で育成は音ゲーのスコアのためにあるんです、と言うのならカードゲームのためだけの育成モードを別途作っておくべきだ。 現状プロデュースモードは一つしかないが、音ゲーのためのステ上げとカードゲームのためのカード集め、どちらをやるのかで全く別の立ち回りを要求される上に、それに初見プレイで気付くことはほぼ不可能で非常に不親切、かつ無駄に複雑にしている。ソーシャルゲームのシステムは基本シンプルであればあるほど良い。ウマ娘や原神が評価されたのは、コンシューマレベルのクオリティでコンシューマとして遊べるからであり、そのレベルの物を出すのは容易ではない。片手間に触るソシャゲとしてはワンプレイが軽くて飲み込みが早く、時間がかからないのは大前提だ。その上でやり込もうと思えば奥深くやり込めれるものが求められる。 しかもwingのように明確な目標や壁がなく、シナリオとのエモい連動もない。ふわーっと簡略化された内容の無いシナリオが流れ、ふわーっとなんかオーディションが終わってゲームが終わっている。トゥルーエンドや無償石というご褒美もない。そのくせ時間だけはしっかり取られる。1回目の育成でもうモチベーションが無くなり、他のユニットに手を伸ばす気分にはならなかった。 どのような感情や体験をデザインしたいのかを綿密に練らずに、それっぽいグラと流行りのゲームシステムをミックスしてお金を稼ぎたいという表面的なデザインで作ってしまった典型的なソーシャルゲームになってしまった。 この姿勢は新ユニットのコメティックにもそのまま出ている。ルカとシーズの因縁、八雲なみと社長の話をしっかり書き切らず、誰も悪役にしない衝突も描かない方向に舵を切りたかったのかふわふわした闇のないキャラとユニットを組ませ、緩やかに丸く収めようとしているように見える。しかしそのようなキャラとドラマが生まれるわけもなく、アイドルゲームにしては尖っていた、ということで価値のあった設定やストーリーの良さを完全に殺してしまった。 衝突も含めて、お互いの魅力を引き出すのが良い組み合わせだがこのユニットは喧嘩も無さそうな代わりにお互いの魅力を相殺しかねない作りになっている。他2人が尖った病んだ歌詞を歌う意味は今のところ見出せない。ルカの魅力は苦しみの代弁をしてくれる存在としての魅力であり、組むとしたらプロセカの25のようなそれぞれ他に葛藤のあるキャラと組ませて、ぶつかり合う中で成長させていくのが鉄板だっただろう。 今のところはルカの元の魅力すらぼやけてしまっているだけだ。キャラクターは人間ではなく記号の集合体だ。この記号の集合によって人の心に何を引き起こすかがデザイナー、プロデューサーの考えるべきところで、作る側がこの錯覚に陥りキャラに生半可に優しくなってしまうのは良くない兆候だ。 こういった、何をコンセプトにしてどういう情報、体験をユーザーに伝えるかという視点が欠如している姿勢はUIデザインやMVのぼやけた演出にも出ている。カードゲーム中、カードだけに集中しているのもあり、何が起こっているのかよくわからない。カードには効果を1行でもいいから書くべきなのにそれもない。イージー以外では一時停止できないのに全て暗記させるつもりか?攻撃されているのか?どれくらい減った?どれが何のステータスバー?どれが自分のステータスなのか?どれもふわっとしている。 育成も今何を目指すべきなのか、後何シーズンあるのか、おすすめやキャラ滞在でなにがお得なのか。失敗すると何が起こるのか。何の効果が発動しているのか。ミッションクリアで何が起こるのか。要素はやたらあるくせにわかりにくい。ミニイベントも楽しく無く、オフやお出かけもウマ娘のような息抜きのお楽しみになれていない。ミニキャラの3dも必要性がなく、これならSDキャラの使い回しでよかった。 開催中のイベントやカードゲームがホーム画面から直接飛べないのも問題だ。 何を伝えたいのか?与えたいのか?という部分をよく練りそこから全てを構成するべきだ。 シャニマスのシナリオの良さは明確な終わりや成長、美少女ゲームではあまり語られない現実の問題や葛藤を描けていたことだと思うが、時間を進められないソーシャルゲームと相性が悪い。プロセカのように終わりを決めて時間を進めるか、オフラインゲームのような媒体で展開する方が向いているだろう。このスタッフがメインになってDAVE THE DIVERのような、尖ったオフゲーを作ってくれればやってみたいと思う。

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