緊張とストレス。決して楽しくはない。 23/9/16

かなりリアルで緊迫した戦場体験ができます。しかし、派手な銃撃戦を楽しめるFPSなどではなく、いつの間にかあっさりやられて全てを失うハードコアなゲームです。常に緊張感とストレスを抱えてプレイする必要があります。 基本的なゲームの流れは、 ①プレイヤーが戦場に潜る。 ②日用品や工具などのアイテムを入手。ときには敵プレイヤーを倒し、アイテムや装備品を略奪する。 ③それらを“ 無事”に持ち帰って、資金に換え、より強力な武器や防具を購入。 ④再び、戦場に潜る。 以上の繰り返しです。とくに最終目標などはなく、強い武器や防具を手に入れるための資金調達を繰り返していくことがメインです。 本ゲームの広告では、激しい銃撃戦や、敵の集団を素早く倒すようなシーンが使用されています。しかし、実際のところは、待ち伏せや遠距離からの狙撃が肝となるゲームシステムのため、FPSにありがちな激しい銃撃戦や、スキルを駆使した知能戦といった、いわゆる“ 派手な要素”はほぼありません。 さらに、 1セット30分という長丁場のプレイの中で、ほぼ大体の時間を物陰や茂みから敵の様子を伺ったり、周りの気配に神経を研ぎ澄ませたりして過ごすことは、他のFPSゲームの気楽さと比べるとかなり苦痛なものがあります。 このゲームのおもしろみは、「手に入れたアイテムを持ち帰るときの緊張感」の一点にあります。 敵プレイヤーに倒されてしまえば、その戦場で手に入れたアイテムは勿論のこと、戦場に潜る前に装備していた武器や防具の全ても失い、敵プレイヤーのものとなってしまう恐れもあります。常にリスクと向き合い、「なんとしてでも高価なアイテムを持ち帰りたい」「大事な装備を奪われたくない」というストレスを抱えながらゲームをプレイしなければなりません。 先に述べた通り、このゲームの肝は待ち伏せや遠距離からの狙撃です。どこに敵プレイヤーが潜んでいるかは全くわかりません。ですので、気づいたらやられていることが非常に多く、驚くほどあっさりと死にます。「一発打たれたらスライディングとジャンプで回避!」「スキルを駆使して雲隠れ!反撃の機会を伺うぞ!」なんてことはできません。すぐ死にます。初心者やある程度慣れてきた中級者であってもすぐ死にます。何度も死に、その度に装備を新調して資金を使い、資金を貯めるために戦場に潜り、また死ぬ。その繰り返しです。 死なないように戦場を潜伏してアイテムをかき集める「緊張感」と、アイテムと装備を失うことなく、無事に脱出できた際の「ストレスからの緩和」が、たまらない方にとってはとてつもない快感になるのだと思います。逆にいえば、「息抜きのためにするゲームに、そこまで緊張感とストレスなんて感じたくねーよ」という方には非常に不向きです。 自分の主観になりますが、本ゲームでは、他のFPSゲームで味わえるような勝利したときの達成感、もしくは敗北を喫したときの悔しさはそれほど感じられませんでした。無事に戻ってこれたときは「なんとか戻って来れた…」と安心こそしますが…、嬉しさよりも緊張感でどっと疲れてしまいます。負けてしまった際は言わずもがな、先述の通りあっさり負けてしまいますので、「あのプレイはここがダメでだったから、次はああしてこうして…」と反省する余地がないため、「次こそは!」という向上心に繋がりにくいです。「あっ、死んだ」「ああ、あんなとこに敵がいたのか…」「装備なくなった、イライラ」の繰り返しです。 以上のようなハードコアなゲームシステムに加えて、 ・小難しい弾薬とマガジンの種類 ・早くからプレイしていたプレイヤーとの装備格差 ・チームマッチングの不平等性(チームのプレイヤー数の多さが勝ち負けに直結します) などなど、昨今の手軽なFPSゲームとのギャップに耐えられないプレイヤーは多いかと思います。 「すぐに辞めるなんて根性がない」「最初は何回も死んで当たり前」「本家よりは易しい」などの声もありますが、手軽さが求められるモバイルゲームにおいて、上記のようなゲームシステムが主体であるなら、新規参入はかなり難しいゲームだと言えます。 「ま、初心者には難しいゲームかもな〜w」と中々香ばしいレビューをされてる方も見受けられます。しかし、買い切りのゲームとは異なり、多くの方々に長くプレイしてもらうことがモバイルゲームの本幹であり、さらなる発展と長期運営には、絶えることのない新規参入が必要不可欠です。名のある会社によって運営されていますが、現時点でそれほど知名度もなく、攻略サイトやYouTubeなども、他のFPSと比べてユーザーの盛り上がりが感じられません。危機感を感じております。 「人を選ぶ」という言葉でお茶を濁していますが、やはり「負ければ全てを失う」本ゲーム特有のシステムが生み出す張り詰めた緊張感と、度重なるストレスに、慣れることが出来ないプレイヤーは多いと思います。 様々なFPSゲームが群雄割拠を為す中、このようなアイデンティティを持つゲームが「人を選ぶ」のは、間違いなく痛手です。

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